プライベート・ジムナスティックス 1
プライベート・ジムナスティックス 2
プライベート・ジムナスティックス 3
ダ・ヴィンチのBL芥川賞候補にも上がっていた「プライベート・ジムナスティックス」。
【候補】
『箱の中』『檻の外』/木原音瀬
『落語家シリーズ 花扇』/剛しいら
『そして恋がはじまる』/月村奎
『プライベート・ジムナスティックス』/藤たまき
『楽園まであともうちょっと』/今市子
『恋をしましょう』/西田東
好きな作品が挙がってる!
「プライベート・ジムナスティックス」はアイススケートの世界を描いたスポーツもののボーイズラブ。
線の細いふわふわした絵柄が独特で好き嫌いが別れそうですが、読み進めると愛着がわいてきて引き込まれます。
可愛く中性的なオトコノコが登場するだけの雰囲気ものではなく、しっかりとした話の構成で読ませるタイプの作家さんだと思います。
アイススケーターとしての成長に悩むカンナの前に現れたセラは、好きだ好きだと強力プッシュ。
天才肌のセラ(←金髪碧眼)を前ににスケート選手としての成長の壁に悩んだり、周囲の期待にこたえようとするあまり、セラの気持ちに素直にこたえられずまた悩み、壊れてゆくカンナの真面目すぎるがゆえの葛藤は読んでいても胸が苦しくなります。
カンナとセラの関係が主軸のスケートというか、揺れる恋愛事情を描いた作品。劇的な展開はないけれど、悩み続ける心の動きの表現がうまく、話が進むごとに入り込んでしまいます。
過剰なほどの自信と実力を持つセラは周囲には口が悪いけれど、カンナには健気でちょっとしたことで浮かれている喜び具合がかわいい。それだけに辛い別れがあったりするのだけれども、最後はハッピーエンドと言えるのではないかとおもう。
カンナとペアを組む女の子が出てくるけれども、ナチュラルで可愛く好感が持てる。自分には意地悪なセラとカンナが仲がいいことに嫉妬もするし、ふたりの関係を理解して行く過程も変に物分りが良かったりしない。
女の子だけでなく、カンナとセラを取り巻く脇役たちも魅力的に描かれている。
悩む男の子の話が読みたい気分の時には特にオススメ。
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