ニューヨーク・ニューヨーク [少年向け:コミックセット] 羅川真理茂 () 白泉社 この商品の詳細を見る |
同性愛を扱ってはいるが、ボーイズラブではない。
タイトル通り、ニューヨークを舞台にさまざまな問題と向き合いながら主人公のケインとパートナーのメルが乗り越え絆を深め、ゲイカップルが子孫をどう残すか、など終わりのときまで余すところなく感動を伝えてくれる。
ゲイであることを隠すケインのカミングアウト、これでもかというくらい事件に巻き込まれるメル君の幼児虐待、レイプ、殺人事件、誘拐、それぞれの心の闇をしっかりとしたストーリーで描かれていて不幸のデパートも不自然ではなく、映画を見ているよう。
少女漫画の絵柄ではあるが、内容はシビアでゲイ用語もバンバンでてくる。
作者が女性ということもあり、突き詰めれば言いたいことはあるだろうが、同性愛者が抱える悩みや問題に向き合い、内面がリアルに描かれている。
また、「ゲイ」というカテゴリーとは別に、主人公たちに降りかかる事件も非常にドラマチックで、事件を通して絆が深まってゆくケインとメルにエールを送りたくなる。
作者は脚本の勉強をされてたとかどこかで聞いたような…今作以外はゲイものではないが、どれもきちんと作られた話の構成はさすが。
こういうことを言うのはあまり好きではないが、必ず感動できる作品だと思います。
ゲイの人も女が描いてるからと手に取らないのはもったいないし、逆にゲイ作品に抵抗がある人でも一度は手にとってみて欲しい一冊。